「変な掛け合わせ」からの新発見を求めて、
コソっと試すことも。
ふだんの仕事について伺いましょう。WさんとYさんが技術開発、Uさんがテキスタイルに所属されていますね。
現場で、生地にセット効果をかけるセッターという機械の操作を担当しています。あとは撥水加工する液などを付けたりする機械ですね。大きいオーブンの中に生地を入れて熱するみたいな。約150℃~170℃という高温で生地を高速で流すというような作業をやっています。
では、夏の季節はかなり暑い?
そうですね。非常に暑いですね。
今の仕事は何年くらいになるんですか?
テキスタイルは4年たちますけど、最初は別の染色工程にいて2年後に今の機械につきました。
僕の担当している機械は、技術開発からの試験加工も流れてきますね。
立ち仕事の時間が長いですか?
立ち仕事というより、加工の条件が複雑なのでそちらに意識をつかいますね。
流す時に間違ってしまったら終わりなので。
WさんやYさんと部署は違うけど、仕事としては連携していると。では、技術開発部の2人はどんなことをされてます?
繊維資材関係が多いですね。その中でもユニフォームのようなある程度型が決まっているものを受け持つことが多いです。シンプルなんですけど、納期が短かったり、お客様の要望が細かかったり。そういった点と、現場の負担を踏まえて条件を決めるような仕事です。
僕はYくんとは違ってスポーツ系で。要求されることは用途が違っていても同じようなことで、たとえば裂けやすさを抑えるようにだとか、ウインドブレーカーだと風通しの度合いを調整してほしいというような要望に応える感じですね。
お客様の感性と自分の感性とのズレがないように、どういう取り組みをしているんですか?
試験加工したものをお客様と一緒に触りながら決められるのが一番なんでしょうけど、そういったことはすぐにできないので、とにかく対話を重ねてすり合わせていくだけですね。
そういうやりとりは営業部門を挟んでお客様の要望を確認しています。
お客様との感性のすり合わせという面で、経験値が上がった実感はあります?
いや、まだまだ自己評価では厳しいかな。「もうちょっと」と言われることも多いですね。
たとえば「前よりちょっと柔らかめ」とか、「前と同じ感じであるんだけどもちょっと硬め」とか…
そういう微妙な調整を言われたりしますから。
現場の機械の特性も踏まえてすり合わせする必要があると。
そうですね、自分が使っている機械のことは把握しておかないと。
条件を考えるにしても、その機械の実力というものもあるので。
ちなみにユニフォームというのはどういった場面で使われるものなんですか?
コンビニ、チェーン店、飲食店あたりですね。作業着専門店で売られているものもあります。
スペックが要求される素材なので、糸が太かったりすると生地のコストも上がってしまい、試作するにあたってお客様としてもそんなに数が作れない。ただ、決まってカタログに載ってしまえば安定して売れる商品にはなりますよね。
技術開発の履歴みたいなものは会社内でストックしてあるんですか?
報告書として保管しています。
上司の「間違っても俺が責任を持つ」の言葉に
勇気づけられた。
先ほど「教えてもらう」という話がありましたが、先輩や部門長に聞くとパッと答えが返ってきます?
すぐ返ってきますよ。
分野問わずですからね。
詳しすぎるという感じですかね。
昔の職人みたいに「盗んで覚えろ」という雰囲気ではない?
全然。むしろどんどん聞いてくれって感じです。
いいですね。ただ「姿を見て覚えろ」というわけじゃなくて。部署は違いますが、Uさんはどうでしょう?
基本、現場は「見て覚えろ」なので。トラブってなんぼというか(笑)。入って数カ月は「間違っても俺が責任を持つし、上にも『間違ったら許してやってくれ』と俺から上に通すから、とりあえず機械を覚えろ」と言われたことはあります。ただ、工程にもよるので、見て覚えないとダメな場面は多々あります。
「やってみろ、俺が責任をとるから」というのはいいですね。
自分からある程度覚えようという意識がある人に対しては、教えている人も「やらせてみようか」と思ったりするのかなと。
どんな仕事でもそうですけど、前向きに吸収するといった心がまえが大事だということですね。
Uさんは入社4年ということで、指導する立場になってます?
今も1人教えている人がいますよ。
「背中を見て覚えろ」ではなく?
僕はどちらかというと優しく教えたいなと思ってます(笑)。一つずつしっかり教えていきたい。
トラブるとその対処で帰るのが遅くなったりするので…(笑)。
ギリギリまでトラブるのを待ってもいいんですけど、一歩手前で止めてあげるようにはしています。
ところでみなさん、仕事のやりがいはいかがですか?
「ミツヤのヒミツ」というテーマにあるように、自分が手掛けた製品を表立って言いづらい立場でもありますよね。
実際に着ているものだとか、店で売っているものだとかを見ると、「苦労したな」とか「簡単にできたな」とか記憶がよみがえりますよね。トラブルを繰り返したけど、ちゃんと作り上げたものが、売り物になっているんだなと。
まるで我が子のような気持ちで。Uさんはどうですか?
現場はそこまではないですね。予定どおりに流れてくれれば(笑)。うちの工程は同じ機械で多品種を扱うので、条件どおり何の問題もなく流れてくれるのがいちばんなんですよ。予定どおりにやって予定どおりに帰る。予定も納期云々でけっこう入れ替わるので予定どおりに流れてくれるのがいちばん(笑)。
Yさんは職業柄、街なかにある繊維製品がすべて目についたりしません?
目につくところですと店に売られているユニフォームやカバンだったり、店頭以外でもカタログに載っているのを見るとやりがいを実感しますね。委託ではない新規の開発も少しやらせてもらっているので、将来の会社の利益につながるような仕事もやりがいを感じる場面ですね。
新規というと、新しい自社製品を作るということですか?
そうですね。お客様からの注文で作る委託生産とは別に、ミツヤから提案できる製品を作るために薬剤などを細かく調べながら作り出していってます。自社で価格を決められるので利益も大きいということもあって。
新規の場合、何かテーマを決めて作っていくんですか?
そういうものもありますし、打ち合わせから、新しいテーマが決まることもあります。
どこかしらの業界の、ある分野が面白そうだから、その分野にアピールできる商材を作ろうというような。
そういうこともありますね。
実際それが売れだしたら面白いですよね。
そうですね。
面白いでしょうね。初期の企画から携われたら絶対面白いじゃないですか。